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リリカルなのはの百合二次創作ブログ。GLなので苦手な方はUターン。※たまに原作沿いなものもありますが、基本原作無視です。パラレルが多め。どちらかというとフェイなのです。

Endless Chain Last

長々と続いていたこの長編も終わりです。
色んないい訳はこの後の更新で。


ここは現世とあの世の狭間に位置する世界、死神たちの住まう地区アースラ。
人の行き交う隊舎から少し離れ、ちょうど建物や生い茂る葉に阻まれて死角となる枝に腰掛けたこげ茶色の髪の少女が一人、肌に心地良い風を感じながら幹に持たれて時折片足をプラプラとさせてはほぅ、と息を吐く。

「……順風満帆、世は並べて事もなし、とね」

ジュエルシードの回収が始まってからというもの色々と目まぐるしく濃密だった日々も、スカリエッティ逮捕から3日も経てばもう普段どおり。
通常の死神業務もあるしあちこちの方面への後処理などやることはまだまだあり慌しくしているのだが、はやては一気に平和になったと未だぼへぼへと日々を過ごしている。今ひとつ気が乗らないのは皆同じなのか、常ならばサボりを諌めるリインフォースもシグナムもここのところ傍になく、度々受けるクロノからの小言も覇気がなかった。
今回の事件にて功労者であるなのはは生活もあるため早々に現世に戻り、渦中の人物であったフェイトはアースラに帰りスカリエッティたちの逮捕を確認した後心身の疲労からか、眠りについてまだ目を覚ましていない。傷は深くなかったから精神的な理由が大きいだろうとのことだ。
どこに向けるともなく視線を彷徨わせ欠伸をしては長く息を吐き、伸びをしてはぐでっと脱力していた身がぴくりと反応し、勢いよく振り返った。

「またこんなところでサボり? 隊舎周りの新しい結界の術式作りには参加しないの?」
「――あーあーあのどこぞの誰かさんが壊しよった結界のなぁ。手伝おうとは思うんやけど寝坊助がなかなか目ぇ覚まさんもんやから身が入らんくてなぁ」

はやての勢いに驚きに目を開きつつ、けれど幼い見た目に合わない柔らかな笑みを浮かべて近付いてきた少女はからかうような口振りで声を掛けた、だが反対に茶化すように自分の所為だと答えられては続く言葉もない。
ぼんやりしているときならたまには彼女に口で勝てるだろうかと思っていたフェイトはやや渋い顔をし、ふふん、と勝ち誇ったように笑ってからはやては枝から飛び降りた。そしてまだ包帯を巻いていることも忘れ、掻き抱くようにフェイトを抱き締めた。

「……ようやっと目ぇ覚ましたんやな」
「ん、心配かけてごめん、はやて。まだちょっと包帯巻いてるけど特に問題はないし、記憶も全部戻ってる」

もう一度力を込めてから少し離れるとフェイトは自身を見下ろして告げ、目を瞑ると懐かしむような表情を見せる。今までに見たことのないほど気を抜いたフェイトに幼さはなく、嬉しさと一抹の寂しさを感じたはやては誤魔化すように立ち上がりすい、と視線を逸らした。

「そか。それにしても起きたばっかりなんによぉシャマルやクロノくんが外出るの認めたなぁ」
「……」
「……? 抜け出したん?」

何気なく口にしたそれにフェイトからの返事はなく、視線を戻せば今度は口元を引き結んだフェイトの視線がそっぽを向いている。沈黙は肯定に等しく、確かに常習犯だったけれど、と苦笑い。
なにやら言うか言わざるかもごもごと口篭っているフェイトに、相談相手に選ばれたことを光栄に思いつつ先を促すようにはやては言葉を投げかける。

「逃げとらんと副隊長らの説教受ける前に医務室戻ったらええ……って、そういうわけにはいかんから悩んでるんよな」
「悩んでるだけじゃなくて、確かに逃げてるよね……」

すっぱりと言われてしまうのはやはりショックだったのか、フェイトは困り顔のまま肩を落とし、それから暫くしてようやく決心できたらしく空を見ながらぽつりぽつりと喋り始めた。

「記憶を取り戻して、同時に現世にまだ体があることを知ってさ、じゃあ私はこのまま死神でいることは出来な
い」
「それは悩まんと決めたん?」
「うん、母さんと姉さんが助けてくれた命を私が捨てるわけにはいかないからね。だからいつまでもこの場に留まらずに体に戻るべきなんだって……それは分かってるんだ」
「死神化やら成長停止やら魂に付いた枷外してしまえば戻すのは簡単やろ。フェイトちゃんは元々事故のショックで魂が抜けただけやったしな」
「死神化させられる前まではね。色々あったとはいえ両方を解除すれば私はただの霊体だし、死ぬ運命になく体から抜けた魂は戻すのが規則だ。私だって例外なくそうしてきた。ただ……」

不意に言葉を切って口を閉ざしたフェイトに、今度ははやても無理に続きを促さなかった。
いつの間にか落としていた視線をそのままに、思い返すように口を開いた。

「記憶が戻ってきて思い返してみるとさちゃんと学校に通ってたみたいで、それなりに仲良くしてた子たちもいるみたいなんだ」
「そうなんや、良かったやん」
「でも現実味がないんだ、まるで誰か別の人のものを見せられてるみたいでさ。……体に戻ったらやっぱり忘れてしまうんだよね、この7年のことを」
「例えばフェイトちゃんを今のまま戻してしまえば忘れへんやろうな、けれど死神化を解除してしまえばただの霊体や。霊体の記憶は朧やからな、どれほど長い時間を過ごしてても体に戻れば一夜の夢として忘れる可能性は高い。かといって死神のままでいるのは無理や」
「それは分かってる。でも忘れたくないんだ、ここにいたこと。7年間、自分のことを知らないままでも死神として生きていたこと、全部」

ぎり、と奥歯を噛み締めるフェイトを見下ろしながらはやてはそっと吐息を漏らす。
生きていた頃の記憶を忘れさせられてて、ようやく思い出すことができたのに今度はこの7年間生きていた記憶を忘れなければいけないフェイトに遣る瀬無い思いだけが積もる。だけど体に戻ることを決めている以上、忘れずにいたとしてもデメリットは多いのだ。

「でもフェイトちゃんの心情は分かるけど覚えてても良いことは少ないで。力が強いから色々よくないものを引き寄せてしまう、あるいは引き込まれてしまうかもしれん、なのにバルディッシュはおらへんから自分での対処は出来ん。厄介ごとに巻き込まれるばっかりや。それならいっそすっぱり忘れてしもた方がええよ、なのはちゃんも忘れさせて力も封印することになってる」
「忘れてしまうの、怖くないのかな……」
「怖くないよ。また会えるって信じてるから」

ぽつりと呟いたフェイトに、こっそりとはやてと視線を交わしていたなのはが後ろから抱きつき、一拍置いてぎゅぅっと腕の力を込めた。呆然となのはの重みを感じていたフェイトは一転、首元に圧迫感を感じ慌ててなのはの腕から抜け出した。

「なっ、君、いつからいたのっ!?」
「久しぶり、フェイトちゃん。ずっといたよ? でもシグナムさんたちがもうちょっと待てって言うから後ろで見てたの」
「やっぱりフェイトちゃん、気付いてなかったんやなぁ。話し始めてすぐくらいにはもうみんな集まってたで」
「うそっ」

振り返ってみればはやて談によるとずっといたらしい面々が呆れたように、あるいは笑みを漏らしながらこちらに向かってきていた。力を抑えていなかったにも関わらずまったく気付いていなかった自分自身にちょっと落ち込むフェイトに、視線を交わしながらなのはとはやてはこっそり笑い合う。

「もうフェイトちゃんってばちょっと目を離した隙にいなくなっちゃうんだから、はやてちゃんも連絡してくださいっ」
「そう言ってくれるなシャマル、主にも考えがあってのことだろう」
「いいじゃんか、怪我は元々大したもんじゃねぇしはやてと一緒にいたんだからさ」

心配性なシャマルにリインフォースもヴィータも主を信じているからか軽く返し、肩を落としてため息を漏らすのを見て笑った。しかしその後ろから更なる心配性がぴしりと告げる。

「だが勝手に抜け出したのをよしとするわけにはいかないだろう、心配する方の身にもなれ」
「ちいちゃい子大好きで心配性なおにいちゃんは大変なんやもんなぁ~」
「はやて、誤解を招くようなことを言うなっ!」

ぽそっと茶化すはやてにがぅっと吠えるクロノを横目にリンディはにこにこ微笑んでフェイトの肩に触れた。思い返せばあまりそういうことをされた覚えないフェイトは驚き、申し訳なさそうに彼女を見上げる。

「心配していたけれどもう大丈夫そうね、良かったわ」
「……ありがとうございます」
「いいのよ、フェイトさん。――クロノ、いつまでもはやてさんと遊んでないの」
「遊んでませんっ! 分かりました。エイミィ、フェイトのデバイスを頼む」

注意を受けて気まずそうにはやてを追うのを止めたクロノははやてをじろっと見やり、フェイトをリンディと挟むように数メートルの距離を置いて立つ。す、と手を掲げようとしたところでエイミィがフェイトに駆け寄った。

「フェイトちゃん、バルディッシュは私たちの方で預かっておくよ。それじゃまたいつかの時まで、元気でね」
「いずれ模擬戦の決着をつけよう」

エイミィにバルディッシュを預け、ぐしゃっと頭を撫でてきたシグナムに首を竦めたフェイトは足元に何重にも浮かぶ複雑な魔方陣に気付いた。

「ま、待って! ……もう会えない?」
「もう会えないよりまた会える、の方がいいな。絶対に会えるよ、だから笑って、フェイトちゃん」

死神化と成長停止の解除のそれだと気付き、縋るように手を伸ばしたフェイトだったがなのはのことばにゆるゆると下ろした。
魔方陣の放つ光が強くなってフェイトを包み込み、収束する刹那泣き笑いのような笑みを浮かべたフェイトの姿が掻き消える。

「……戻れたのかな、フェイトちゃん」
「大丈夫やろ。さぁて、次はなのはちゃんや。レイジングハート置いてな」

置いて、と言いつつひょいと取り上げたはやてに苦笑するなのはは、今度は自分の足元に魔方陣が浮かんでいることに気付いた。一気に片付けてしまうつもりかな、となのははレイジングハートを一撫で。

「また会おうね、レイジングハート」
『See you again,Master』
「それじゃ何や慌しくなってしもたけど、なのはちゃんもまたな」
「うん、また会うときは大きくなったフェイトちゃんと一緒に遊ぼうね」

先ほどと同じく光が収束すればひらりと手を振ったなのはの姿は、耳鳴りのような音を小さく響かせて地区アースラから消えた。
暫く空を見上げたはやては伸びをひとつ。

「さぁて、おシゴトしますかー」

いつかやって来るであろう二人に会うまで。




fin
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Author:ツバキ
初めまして、ツバキといいます。
リリカルなのはの なのは×フェイト×なのはでSSを書く予定。
ネタばれ有り、原作無視有り
パラレルなんだと思ってください。

基本的に思ったままに書いていきます、あまり推敲なし。矛盾もあるかもしれません。

リンクフリーです。ご自由にどうぞ。
不定期な気まぐれ更新ですがよろしくお願いします。
※ありえないと思いますが無断転載禁止

※こんなの見てみたいとかありましたら言ってみてください。もしかしたら書くかもしれませんので。

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